寒暖差が人体に与える悪影響

近年、地球温暖化の影響なんですかね、気候の変動が激しくないですか?当院でも寒暖差で身体の不調に悩む人が来院されています。では寒暖差が人体に与える悪影響について、考えてみましょう。

寒暖差が人体に与える直接的な影響

寒暖差は、私たちの体を恒常性の維持に集中させます。特に自律神経系には大きな負担をかけます。

体の恒常性(こうじょうせい、英語: homeostasis)は、体内の環境を一定に保つための調節機能のことを指します。これは体が内部と外部の変化に対して適応し、最適な状態を維持するためのメカニズムです。たとえば、体温、血糖値、酸素濃度、水分、電解質のバランスなどがこれに含まれます。

具体的な例としては以下のようなものがあります:

  1. 体温調節: 体温が高くなると、汗をかいて体温を下げる。また、寒いときには震えて体温を上げる。
  2. 血糖値の調節: 食事後に血糖値が上昇すると、インスリンが分泌されて血糖値を下げる。逆に、血糖値が低下するとグルカゴンが分泌されて血糖値を上昇させる。
  3. 水分と電解質のバランス: 体内の水分量が減ると、喉の渇きが起こり、水を摂取するよう促す。さらに、腎臓が水分を再吸収して尿の量を減らす。

体温調節機能の負担

私たちの体は、外界の温度変化に関わらず、常に一定の体温を保とうとする恒常性を持っています。しかし、寒暖差が大きい環境では、この恒常性維持機構が過剰に働き、自律神経系が疲弊してしまいます。

自律神経系は、交感神経と副交感神経のバランスによって私たちの体の機能を調整しています。寒暖差によってこのバランスが崩れると、交感神経が優位になりがちです。交感神経は、いわば「戦うか逃げるか」の反応を司る神経で、心拍数を上げたり、血圧を上昇させたり、消化活動を抑制したりします。

ストレスホルモンの分泌

自律神経のバランスが崩れると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が過剰になります。コルチゾールは、短期的に見ると体を活動状態に維持する働きがありますが、長期的に分泌が続くと、免疫機能の低下、血糖値の上昇、血圧の上昇など、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

具体的にどのような影響があるのか

  • 免疫力の低下: コルチゾールの分泌が増加すると、免疫細胞の働きが抑制され、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
  • 睡眠の質の低下: コルチゾールは、睡眠を妨げる働きがあるため、不眠や睡眠の浅さにつながることがあります。
  • うつ病や不安障害のリスク増加: 長期的なストレスは、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高めることが知られています。
  • 代謝の低下: コルチゾールは、糖新生を促進し、脂肪を蓄えやすくするため、代謝が低下し、肥満の原因となる可能性があります。

寒暖差が免疫細胞の活性を低下させるメカニズム

寒暖差によって引き起こされる自律神経の乱れは、免疫細胞の活性低下に大きく関与しています。具体的には、以下の様なメカニズムが考えられます。

  1. ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌増加:
    • 寒暖差によってストレスを感じると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。
    • コルチゾールは、短期的に見ると体を活動状態に維持する働きがありますが、長期的に分泌が続くと、免疫細胞の働きを抑制し、免疫力が低下します。
  2. 睡眠不足:
    • 寒暖差による自律神経の乱れは、不眠や睡眠の質の低下を引き起こしやすくなります。
    • 睡眠中に免疫細胞は活性化し、体内に侵入したウイルスや細菌と戦う準備を整えます。そのため、睡眠不足は免疫力の低下に直結します。
  3. 炎症反応の慢性化:
    • 寒暖差による体の冷えや温まりすぎは、低レベルの炎症反応を慢性化させる可能性があります。
    • 慢性的な炎症状態は、免疫細胞の働きを鈍らせ、感染症に対する抵抗力を低下させます。

寒暖差が免疫機能の低下をもたらす具体的な影響

  • 感染症にかかりやすくなる: 免疫力が低下すると、風邪、インフルエンザ、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
  • アレルギー症状の悪化: 免疫系のバランスが崩れることで、アレルギー症状が悪化したり、新しいアレルギーを発症したりする可能性があります。
  • 自己免疫疾患の発症リスク増加: 免疫系が自己の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患の発症リスクが高まる可能性も指摘されています。

寒暖差が間接的に引き起こす問題

1. 睡眠の質の低下

  • 体温調節との関連: 睡眠時は体温が低下しますが、寒暖差が大きい環境では、体温調節がうまくいかず、睡眠の質が低下する可能性があります。
  • 自律神経の乱れとの関連: 自律神経の乱れは、入眠困難や中途覚醒を引き起こし、慢性的な睡眠不足に繋がります。

2. 精神的な影響

  • うつ病や不安障害のリスク増加: 寒暖差は、自律神経の乱れや睡眠不足を通じて、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。
  • 認知機能の低下: 長期的な睡眠不足は、記憶力や集中力の低下など、認知機能の低下を引き起こす可能性があります。

寒暖差対策

  • 服装の工夫: 室内外や気温の変化に合わせて、服装をこまめに調整しましょう。
  • 室温管理: 室内を快適な温度に保ちましょう。
  • バランスの取れた食事: 免疫力を高めるために、バランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 十分な睡眠: 質の高い睡眠をとることで、体の回復を促しましょう。
  • 適度な運動: 免疫力を高めるために、適度な運動を心がけましょう。
  • ストレス管理: ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作りましょう。

さいごに

寒暖差は、私たちの健康に多岐にわたる悪影響を及ぼす可能性があります。日頃から、寒暖差対策を心がけ、健康な生活を送ることが大切です。

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