自然は直線を嫌う

整体という仕事をしていると、たまにですが過剰に左右対称にこだわる人に出会ったり、ネット上で目に入ったりします。

どこかで左右のバランスが整っていないと”正しくない”正中線が整っていないと”正しくない”と言われたり、知識で入れたことを妄信しているのかな?思うんです。

左右対称バランスが良い。確かに一理あるような意見ですが、人という生き物も個体差があって千差万別なので、そこまで拘ることはないのでしょうか。

「自然は直線を嫌う」これは英国の造園家ウィリアム・ケント氏が遺した言葉です。

改めて思い起こすと小川の流れ、木の幹や枝、石や岩の形など自然の中で直線を見つけることは、難しいかも知れません。

これについては、地球上のあらゆるものは重力の影響を受けており、その力のかかりかたは一方向にはならないため、自然物には直線が生じないという論がありますので、その通りだなと思います。

にもかかわらず人は直線を好みます。

何故でしょう?直線は規則性を作り、取り扱うのも容易になるからです。要は便利なんですね。

これを整体に当てはめると人間も工業製品のように上下左右を揃えるように基準を作った方が、所謂ゆがみと称されている状態の判断がしやすいというわけです。

この”ゆがむ”という言葉にも個人的には含むところはありますが、ここでは割愛しますね。

とにかく基準があれば客観視も出来るし、とても分かりやすいので利点は多いのですが、この基準に判断をおき過ぎて頭でっかちになり、肉体感覚を置き去りにするようなことだけは避けたい所ではないかと。

例えば職人さんなどは、長年培った身体のクセで精妙な技術を常時再現可能にしている人も少なくはないでしょう。

それを無理に矯正しクセを正すことでバランスを変えてしまうと、スランプになる人もいるかもしれませんので、杓子定規に手を加えるのではなく、その人を見ながら施術していくと良いんじゃないかな思います。

人類が作り出した直線は素晴らしいものですが、あまり頼り過ぎないようにするのも時には良い結果をだすこともあるんじゃないですかね。と思ったり(^^)

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