猫背は便秘を増長する・・の

便秘はどうしてなるの?という疑問は古今東西見回してみても、完全解決には至ってないのではないでしょうか。原因に関してもこれだと一口に言えるものではなかろうかと考えます。

が、整体的な観点から猫背と便秘の関係について少し深ぼってみようかと、この一見関係のないように思える二つの症状が、実は関係をしているんですね。多岐にわたる便秘の原因の一端を摘まんで捻っている、猫背と便秘の関係をみてみましょう。

猫背が便秘を引き起こすメカニズム

1. 内臓への圧迫

  • 腸の形状の変化: 猫背によって内臓が圧迫されると、腸がねじれたりすることがあります。この形状の変化が、便の通過を妨げ、滞留しやすくなります。
  • 腸蠕動運動の低下: 腸の壁には、食べ物を押し出すための筋肉(平滑筋)が存在します。猫背による圧迫は、この筋肉の働きを鈍らせ、ぜん動運動が弱まります。
  • 腸内神経叢への影響: 腸壁には、腸の動きを制御する神経の集まり(腸内神経叢)が存在します。猫背による圧迫は、この神経叢の働きを阻害し、腸の機能低下を招きます。

2. 呼吸の浅さ

  • 横隔膜の動き: 呼吸の際に重要な役割を果たす横隔膜は、猫背によって上方へ押し上げられ、その動きが制限されます。これにより、腹腔内圧が低下し、腸の働きが鈍ります。
  • 酸素不足と腸内細菌: 呼吸が浅くなると、腸内細菌のバランスが崩れ、善玉菌が減少する可能性があります。善玉菌は、腸内環境を整え、便通を良くする働きがあるため、大きく見ればその減少は便秘の一因となります。

3. 腹筋の弱化

  • 腹横筋の重要性: 腹横筋は、腹腔内圧を高め、排便を補助する重要な筋肉です。猫背によって腹横筋が弱まると、排便力が低下し、便秘になりやすくなります。
  • 骨盤底筋との連携: 腹横筋は、骨盤底筋と連携して働くことで、腹圧を高め、排便を促します。猫背による骨盤の歪みは、骨盤底筋の機能低下にもつながり、便秘を悪化させます。

4. 自律神経の乱れ

  • 交感神経優位: 猫背は、交感神経を優位にし、副交感神経の働きを抑制します。副交感神経は、消化器官の働きを活発にするため、その抑制は便秘を引き起こす要因となります。
  • ストレスとの関連: ストレスは、交感神経を過剰に刺激し、自律神経のバランスを崩します。猫背とストレスは、相互に悪影響を及ぼし合い、便秘を悪化させます。

猫背と便秘の関係性を深掘りする3つの視点

1. 解剖学・生理学の視点から

  • 内臓下垂: 猫背が長期化すると、内臓が下垂し、腸の位置が変化します。この変化は、腸の固定を弱め、ぜん動運動を妨げます。
  • リンパの流れ: リンパ系は、体内の老廃物を回収する役割を担っています。猫背は、リンパの流れを阻害し、むくみや便秘を引き起こす可能性があります。

2. 心理学の視点から

  • 体への不信感: 猫背は、見た目のコンプレックスだけでなく、体の機能に対する不信感につながる可能性があります。この不信感は、便秘に対する不安を増幅させ、悪循環を招きます。
  • 慢性的な痛み: 猫背に伴う肩こりや腰痛などの慢性的な痛みは、気分の落ち込みやストレスを増やし、便秘を悪化させる可能性があります。

3. 社会学の視点から

  • 労働環境: 長時間のパソコン作業やデスクワークは、猫背を促進し、便秘のリスクを高めます。業務体系による排泄リズムの乱れも要因になり得ます。
  • 食文化の変化: 外食や加工食品の摂取が増加する現代社会では、食物繊維が不足しがちになり、便秘のリスクが高まっています。

猫背と便秘を改善するためのアプローチ:より具体的な対策

  • 姿勢矯正: 姿勢矯正器具の使用、定期的なストレッチ、ヨガ、ピラティスなど
  • 呼吸法: 腹式呼吸、 diaphragmatic breathing(横隔膜呼吸)など
  • 食事改善: 食物繊維の摂取(野菜、果物、全粒粉など)、水分補給、発酵食品の摂取
  • 運動: ウォーキング、水泳、ヨガ、ピラティスなど
  • ストレス管理: 瞑想、アロマテラピー、自然との触れ合いなど
  • 専門家への相談: 整骨院、鍼灸院、ヨガインストラクターなど

さいごに

猫背と便秘の関係性は、単に内臓への圧迫だけでなく、呼吸、筋肉、神経、心理、社会的な要因が複雑に絡み合っていることがわかりましたね。ある意味、現代病といってもいいような気もします。

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