現代病ともいえる座り過ぎ問題ですが、ここにきて運動の重要性が再注目されています。最新の研究では、日常生活の中に5分でも軽い運動を足すことで、血圧を下げ、心臓病などのリスクを大幅に減少させる可能性があることが明らかになりました。今回は、※Prospective Physical Activity, Sitting and Sleepコンソーシアムの大規模研究結果をもとに、運動の重要性について考えてみましょう。
※Prospective Physical Activity, Sitting and Sleepコンソーシアム(ProPASS)は、国際的な研究協力プラットフォームで、24時間の身体活動、姿勢、睡眠パターンが健康結果に与える影響を探ることを目的としています。このコンソーシアムは、大腿部や腕に装着する加速度計デバイス(ウェアラブル)を使用して、多次元的なデータを収集し、健康に関するさまざまな結果を分析します。
研究の背景と目的
高血圧は、世界中で心血管疾患の主要な原因であり、「サイレントキラー」とも呼ばれています。この状態は脳卒中や心臓発作など、あらゆる健康問題を考慮する可能性がありますが、運動を通じた非薬物的アプローチが有効であることが知られています。
今回の研究では、24時間の生活行動(睡眠、座位行動、起立、ゆっくり歩く、速く歩く、運動様活動)の構成が血圧に及ぼす影響を調査しました。集められた14,761人(平均年齢54.2歳)のデータが使用されました。
方法と分析
参加者は、大腿部に装着した加速度計を用いて24時間の行動パターンを記録し、血圧測定を実施。しました。
行動パターンは以下の6つに分類されました:
- 睡眠:1日平均7.13時間
- 座位行動時間:10.7時間
- 起床時間:3.2時間
- ゆっくり歩く:1.6時間
- 速く歩く:1.1時間
- 活動様(ランニングやサイクリングなど):16分
結果:運動が血圧に与える影響
上記で述べたように、この研究では、14,761人を対象に、24時間の行動パターンと血圧の関係を調査しています。その結果、以下のことが明らかになりました。
- 運動時間が長いほど血圧が低い: 睡眠時間や運動時間が長いほど、血圧が低い傾向が見られました。
- わずか5分の運動でも効果あり: 運動のような活動が5分長くなると、収縮期血圧が約0.7mmHg、拡張期血圧が約0.5mmHg低下する可能性が示唆されました。
- 座りすぎはNG、立ち上がって動こう: 座っている時間が長いと血圧上昇のリスクが高まる一方で、立ち上がって歩くなどの行動は、血圧への影響は限定的でした。
- 運動の種類も重要: ランニングやサイクリングなどのより激しい運動は、血圧低下に効果的である可能性が示唆されました。
日常生活に運動を取り入れる方法
研究チームは、運動様活動には心血管系に負荷をかけるような行動が含まれると説明しています。
- 階段を上がる
- 上り坂を歩く
- バスに間に合うように走れます
- 短時間のサイクリング
これらの行動は、特別なトレーニングの時間を確保しなくても、日常生活に簡単に組み込むことができます。
研究の意義と結論
ProPASSコンソーシアムの研究結果は、わずかな時間の運動でも血圧に大きな影響を考慮していることを示しています。 特に、高強度の運動は心血管系への負荷を高め、血圧管理に非常に効果的であるとされています。
この研究を主導したシドニー大学のエマニエル・スタマタキス教授は、「1日5分の余裕ある運動が血圧測定値を著しく低下させる可能性がある」と強調しています。小さな工夫で健康効果を得られる点が表示されました。
理想的な実践方法
- 日常の中で運動量を増やす工夫:エスカレーターではなく階段を利用する、短い距離を車ではなく歩くなど。
- 活動的な移動手段の活用:通勤や買い物に自転車を使う。
- 短時間の高強度運動:数分間の軽いランニングや、家事の中で体を動かす工夫をする。
こう考えると運動は大げさな機器や長い時間を必要としないものでも、十分に健康を維持する力があります。とても忙しいとは思いますが、日常の中に少しでも意識して運動を取り入れてみてください。
参考文献 https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.124.069820