開業して12年ほど経っています。当院は所謂治療院に特化しているのではなく、日常生活の中でどうしても抜けきれない過度な緊張を緩めて、健康な状態になって頂くことを目的としているせいか、10年以上頼って下さる方も何人もいらっしゃいます。
ただそうなると、お客様の高齢化が無視出来なくなって来るんですね。
野生の世界では老化で足腰が弱って、動けなくなる個体は食べられてしまいます。また、自ら群れを離れるのも移動についていけないからです。
勿論、現代人が肉食動物に食べられる事はないのですが、足腰が弱ると社会的弱者へのコースを辿る事になり、足を骨折して入院などしたりした日には見る見る間に筋肉は衰え、酷くすると脳の活動まで衰えてしまいます。
なので、高齢になっても最低限の筋力はキープしていきたいものですが、これが中々難しい。
年を取って下半身の筋肉が衰える主な理由は一口では言えず。複数の生理学的な変化や身体の組織に起こる変化に起因するんですね。
まずは主な要因を挙げていきましょう。
1. 筋肉量の減少(サルコペニア)
加齢とともに、サルコペニアと呼ばれる筋肉量の減少が進んでいきます。特に、脚の筋肉が衰えやすく、歩行や立ち上がりの動作に影響が出る場合があります。この現象は、20代から始まり、50代以降はより顕著になることが知られています。
2. 筋力の低下
加齢に伴い、特に股関節や胸の筋肉が弱くなることで、歩行や立ち姿勢が不安定になり、転倒のリスクが高まります。
3. 骨の弱まり
加齢は骨も弱くします。 特に女性は、閉経後に女性ホルモンの分泌が減少し、骨がもろくなりやすくなります。筋肉は骨を支える大切な役割も担っています。筋肉が弱ると骨への刺激が減り、骨がもろくなる可能性が高まるため、適度な運動は骨の健康維持にもつながります。
4. 関節の変化
関節の軟骨がすり減ると、関節がスムーズに動かず、痛みを伴うようになります。この状態が進むと、歩行が困難になったり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
5. 神経の反応が鈍くなる
年齢を重ねるにつれて、脳と筋肉の連携が弱まり、動作が遅くなったり、体のバランスを保つことが難しくなります。
6. ホルモンの減少
筋肉を作る上で重要な成長ホルモンやテストステロンが年齢とともに減少するため、筋肉量の低下がより進みやすくなります。
7. 血流が悪くなる
加齢に伴い、血流が悪化し、特に足の筋肉への血流が低下します。その結果、筋肉が十分な栄養や酸素を得られなくなり、筋力が低下するのです。
加齢による筋肉の停止を防ぐには?
加齢とともに気になる筋肉の衰え。これを防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが大切です。
運動を習慣に
- 筋力トレーニング: スクワットや簡単なストレッチなど、ご自身の体力に合わせた運動を続けることが大切です。
- ウォーキング: 日常的に歩く習慣をつけることで、下半身の筋肉を鍛え、血行を促進できます。
バランスの取れた食事を
- タンパク質: 肉、魚、卵、大豆製品など、筋肉を作るための材料となるタンパク質をしっかりと摂りましょう。
- カルシウム: 骨を強くし、筋肉を支えるために、牛乳や乳製品、小魚などを積極的に摂取しましょう。
質の高い睡眠を
- 睡眠時間: 睡眠は、筋肉の修復と成長に欠かせません。質の高い睡眠を十分に取るようにしましょう。
- 睡眠環境: 寝室の環境を整え、リラックスできる状態を作り出すことも大切です。
健康的な生活習慣を
- 禁煙・節酒: 喫煙は血行を悪くし、アルコール過多は筋肉の分解を促進します。
- ストレス管理: ストレスは、体の機能を低下させる原因となります。ストレスを溜めないように、趣味やリラックスできる時間を作りましょう。
等々、これらの生理学的な変化が相互に影響し、結果として下半身の筋肉の衰えが生じるわけです。頑健な下半身を維持するためには、適切な栄養、運動、生活習慣を心がけることが重要だったりします。
とは言え、私も含めそれを実践、継続するのはとても難しいのですが(-_-;)