言葉がもたらす生理的変化を科学的にみてみる

意味を考えずに安易に言葉を発する人っていますよね。簡単に「〇ね」といったり、個人的には「クソ○○」っていうアレは結構苦手です。せっかく人が持ってる「言葉」というものをもう少しだけ大切に使えませんかね?というのも「言葉」は、単なるコミュニケーションツールにとどまらず、私たちの身体に直接的な影響を与える強力なツールとも言えます。そして近年、神経科学や心理学の分野で数多くの研究によって「言葉」の影響が裏付けられています。

自律神経系への影響

言葉が自律神経に直接作用するメカニズム

  • 大脳辺縁系への刺激: 言葉は、感情を司る大脳辺縁系に直接刺激を与えます。ネガティブな言葉は、扁桃体を活性化させ、恐怖や不安といった感情を引き起こし、交感神経を優位にします。一方、ポジティブな言葉は、側坐核を活性化させ、報酬系を刺激し、副交感神経を優位にします。
  • ストレスホルモンの分泌: ネガティブな言葉は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促し、心拍数や血圧を上昇させます。一方、ポジティブな言葉は、コルチゾールの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらすオキシトシンの分泌を促進します。

具体的な例

  • 怒りの言葉: 「くそっ!」といった怒りの言葉は、交感神経を過剰に活性化させ、心拍数の上昇、血圧の上昇、筋肉の緊張など、いわゆる「戦うか逃げるか」の反応を引き起こします。
  • 感謝の言葉: 「ありがとう」といった感謝の言葉は、副交感神経を優位にし、心身のリラックスを促し、幸福感を高めます。
ふくやま

因みに、怒りによる自律神経の乱れは3~4時間ほど持続することが分かっています。つまり「クソっ」っと苛立つだけで、それだけの時間体が乱れるわけです。

脳の活性化

言葉が脳に与える影響

  • 脳の可塑性: 脳は、経験や学習によって変化する可塑性を持っています。ポジティブな言葉は、脳の神経回路を強化し、新しい神経細胞の生成を促します。
  • 報酬系の活性化: ポジティブな言葉は、脳の報酬系を活性化させ、幸福感や達成感といったポジティブな感情を生み出します。
  • 海馬の活性化: ポジティブな言葉は、記憶を司る海馬の活動を活発にし、記憶力や学習能力の向上に繋がります。

具体的な例

  • 自己肯定的な言葉: 「私はできる」といった自己肯定的な言葉は、前頭葉の活動を活発にし、自信や自己効力感を高めます。
  • 目標達成の言葉: 「必ず達成する」といった目標達成の言葉は、脳の報酬系を刺激し、モチベーションを高めます。

免疫系への影響

言葉が免疫系に与える影響

  • ストレスと免疫系: 長期的なストレスは、免疫細胞の機能を低下させ、感染症にかかりやすくなったり、慢性疾患のリスクを高めたりします。
  • ポジティブな感情と免疫系: ポジティブな感情は、免疫細胞の働きを活性化し、免疫力を高めます。

具体的な例

  • 笑いの効果: 笑いは、ストレスホルモンの分泌を抑制し、免疫細胞の活性を高めることが知られています。
  • 瞑想の効果: 瞑想は、ストレスを軽減し、免疫力を高める効果が期待できます。

言葉の力の応用

言葉の持つ力を理解した上で、日常生活にどのように活かしていくことができるのでしょうか。

  • 自己肯定的な言葉の力:
    • 「私はできる」「私は価値がある」といった自己肯定的な言葉は、自己肯定感を高め、目標達成を促します。
    • 鏡に向かって肯定的な言葉を声に出して言ったり、日記にポジティブな言葉を書くなど、様々な方法で実践できます。
  • 感謝の言葉の力:
    • 感謝の言葉を口にすることは、幸福感を高め、人間関係を円滑にする効果があります。
    • 日々の生活の中で、感謝の気持ちを言葉で表現する習慣をつけましょう。
  • 周囲への言葉遣いの大切さ:
    • 相手の気持ちを尊重し、丁寧な言葉遣いを心がけることで、良好な人間関係を築くことができます。
    • 特に、職場やチームの中では、言葉遣いがコミュニケーションの質を大きく左右します。

まとめ:言葉の力を最大限に活かすために

「言葉は医学だ」という言葉は、決して誇張ではありません。私たちの言葉は、心身に大きな影響を与え、人生の質を大きく左右する可能性を秘めています。

  • 言葉の力を意識する:
    • 日常生活の中で、自分がどのような言葉を使っているのか、意識してみましょう。
  • ポジティブな言葉を選ぶ:
    • ネガティブな言葉は避け、ポジティブな言葉を選ぶように心がけましょう。
  • 言葉で自分を励ます:
    • 自己肯定的な言葉で自分を励まし、自信を高めましょう。
  • 感謝の気持ちを言葉で表現する:
    • 感謝の気持ちを言葉で表現し、人間関係を円滑にしましょう。

奇麗ごとかも知れませんが、実際に言葉の力は、私たちが人生をより豊かに生きるための強力なツールです。言葉の力を最大限に活かすことで、人生の幸福度が変わるならポジティブな言葉を選びたいですね。

【参考文献】

  • 小林弘幸: 人生で一番役に立つ「言い方」
  • [関連する神経科学や心理学の論文] (例: 脳波測定による言葉の影響に関する研究、ストレスと免疫系に関する研究など)
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