なぜ”頭に触れるだけ”で体と頭がゆるむのか― 脳コードという、神経系へのアプローチについて ―

非常に歯痒いことですがSNSの普及と並行して、日常生活の中に余計なノイズが入ってくるようになりました。

特に何か大変なことがあったわけでもないのに、なんとなく胸がざわざわして、頭がモヤモヤするといった感覚や体感は実に嫌なもので、ダイレクトに不調に関わってきます。

そんな状態が嫌で「ゆっくりしよう」と思って横になったり、深呼吸をしてみても、頭や体にどこかに力が入ったまま過ごす毎日は何とも足取りが重いものです。

「気にしすぎ」ではなく、神経系の問題

理由のわからない緊張やざわつきは、一見気の利いた自己啓発本を読んでみたり、気の持ちようでどうにかなるものではありません。まして根性論が通じるものでもありません。

実際、筋肉に「硬くなれ」と指令を出しているのは、脳と神経系です。ストレスや外からの刺激に対して敏感に反応しやすい人ほど、この指令が出やすく、出続けやすい。体は疲れているのに眠れない、マッサージを受けてその場は楽になるのにすぐ戻る、という状態は、多くの場合この層が手つかずのままだからです。

「リラックスしようとするほど逆効果」になるのも、ここに理由があります。意識的に力を抜こうとする行為が、神経系にとっては新たな「がんばり」になってしまうのです。

つまり、ゆるむためにがんばるという矛盾が生じるのです。

整体には、アプローチの層が二つある

一般的に整体は、筋肉や骨格にアプローチします。凝った筋肉をゆるめ、関節の動きを整えるというもので、私もこうした施術は行います。

これは確かに有効な手段ではありますが、前述のように整体としてアプローチすべき場所は他にもあります。

それが、神経系です。

脳コードは、この神経系の層に働きかける技術です。筋骨格へのアプローチとは対象が違います。どちらが上でも下でもなく、扱う層が違うのだと思ってください。

「安全確認」という、身体の無意識の反応

外から何かが触れたとき、体はまず一つの判断を行います。

「これは安全か?」というものです。

この判断は意識より先に起きます。神経系が警戒モードにある人は、この判断が”NO”寄りに傾きやすい状態になっています。

なので、施術ベッドに寝ていても体のどこかに力が入っていますし、ゆるめようとするほど逆に固まる、ということが起こります。

脳コードは、頭部や頸部にゆっくりと静かに触れることで、皮膚を通じて「ここは安全な場所だ」という信号を神経系に送り、力で押さえつけるのではなく、神経系の判断そのものを変えることを目的としたものです。

この変化が起きると、「ゆるもうとしなくても、体が自然にゆるんでいく」という状態になり、また、その感覚を、はじめて味わう方も少なくありません。

体だけでなく、頭も静かになる

例えば、寝る前や食事中のふとした瞬間に今日あった会話を振り返っていることはありませんか?

あの言い方で良かっただろうかと考え直しながら、あっという間に30分40分と時間を浪費してしまっていませんか?

これは脳がまだ警戒モードにある状態のサインです。安全を感じていない脳は、過去の反省や未来の不安を自動的に繰り返す傾向があります。

いわゆる「反芻思考」と呼ばれる状態で、刺激に対して敏感に反応しやすい方(HSPと呼ばれる傾向の方)は、これが慢性化していることが少なくありません。

脳コードで神経系が安心モードに切り替わると、この思考のループが静まりやすくなります。

具体的にはこんな変化として現れます。

  • 施術の途中で、ふと「何も考えていない時間」が生まれる
  • 終わって帰り道に、頭が妙に静かなことに気づく
  • 翌朝、起き抜けの重さが軽い
  • 「あの人にこう言われた」がいつまでも頭に残るループが減る

身体の緊張と思考の緊張は、同じ神経系の上に重なっているのです。

筋骨格への施術と、どう組み合わせるか

当院では、通常の施術(筋肉・骨格へのアプローチ)と脳コード(神経系へのアプローチ)を、状態に応じて使い分けています。

脳コードを先に行う場合は、神経系が受容モードに切り替わった状態で施術が進むため、変化の深さや持続のしやすさに違いが出ます。特に次のような方には、この組み合わせが有効なことが多いです。

  • 理由のわからない緊張やざわつきが続いている
  • リラックスしようとするほど体が固くなる感じがある
  • 施術中も気を遣って力が抜けない
  • 「その場では良いけど、翌日には戻っている」が繰り返されている

どちらか一方に偏らせず扱う対象が違う技術を、状態に合わせて選んで施術を行っています

「まだ大丈夫」の時期が、実はちょうどいい

「なんとなく重い・休んでも抜けない」が長く続くと、脳はその緊張を「通常運転」として記憶し始めてしまいます。そして、記憶が定着するほど、回復には時間がかかります。

逆に言えば、まだ軽い段階のうちに神経系へアプローチすることで、変化の幅も、戻りにくさも違ってくるわけです。

防御の反射が出ないような触れ方で施術を行っていると、がんばらずに力が抜けていくという変化を感じることがあります。それは、神経系が「もう緊張しなくていい」と判断した結果として起きたものなので、安心して受け取って下さい。

整体処りら福(町田) では、初回のカウンセリングで状態を確認しながら、脳コードの使用を提案しています。「わざわざ行くほどではない」と感じている方にこそ、一度試していただきたいアプローチです。


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