現代社会において自分の意見を言える人と言えない人では、人生の豊かさに差が出てくるんじゃないかなと思います。
これは相手がどう思おうと気にせず自分意見をドンドンぶつけて行こうぜという、昭和のワンマン社長的なことを肯定しているわけではありません。ただ、言いたいことを常時、飲み込んで消化不良を起こし、心身の不調を抱えてしまうなんて状態はナンセンスですよねというお話です。
アサーティブというコミュニケーションスキルがあります。
アサーティブ(Assertive)は、アサーション(Assertion)やアサーティブネス(Assertiveness)、アサーティブコミュニケーションとも言われます。アサーティブは「誰しも等しく自己主張する権利がある」という思想を前提に、自分と相手のどちらも傷付かないことを目標とし主張的でありながら攻撃的ではなく、受け身的でもない、バランスの取れたコミュニケーションスタイルを身につけることを目的としています。
基本的な概念にのっとるならば「自分の意見や感情を正直に表現し、相手にも同じことを許す」となりますが、大まかにいうと「自分の言いつつ相手の感情は逆なでしない」方法という感じでしょうか?
このスキルは普段自分の意見を言えずに悶々している人にとって、救世主ともいえる物だと思います。周りの目や意見を気にして遠慮しがちなHSP気質の人にも是非習得または知っておいて欲しいスキルですね。
アサーショントレーニングの指標
· 自分の感情を理解する: 自分の気持ちを言葉で表現できるようになる
· 相手に自分の気持ちを伝える: 相手に誤解なく自分の考えを伝えることができる
· 相手の気持ちを尊重する: 相手の意見にも耳を傾け、お互いの意見を尊重できる
· 自分の意見を主張する: 自分の意見を臆せず表現できる
ここで気を付けたいのが感情的になり、お互いに意見をぶつけ合うような事にならないように、冷静に。
具体的なトレーニングとしては「I(アイ)メッセージ」を使う事に慣れましょう。「~して欲しくない」ではなく、「~された時に、私は~と感じます」のように、自分の気持ちを主体的に表現します。
よく見る例題として
「あなたはいつも遅刻するから、私は不安に感じます」というものがあります。
もし?と思ったら反対の「You(あなた)メッセージ」で比較してみましょう。
「急いでるので(あなた)早くして」と「もうすぐ時間なので(わたし)もうちょっと早く出たいです」の違いを感じてください。
ほんのちょっとした言い方の違いですが角が立ちにくいのが分かると思います。
仕事においても「これやっといて」よりも「やっておいて貰うと助かる」の方が円満ですよね。
3つの考え
アサーティブには3つの表現法があると定義しています。
・自己表現が苦手で受動的な「ノンアサーティブ(非主張的)」
・自己主張が強く要求的な「アグレッシブ(攻撃的)」
・自分と他人の両方を尊重する「アサーティブ(主張的)」
です。何となく受動的か要求的かに分かれるのでは?
友達との会話で「週末ドライブに行こうぜ」となった時
ノンアサーティブ「えっ…いいよ(ホントは美容院行きたかったけど)」
アグレッシブ「美容院行くからからダメ」
アサーティブ「ドライブ?いいね。でもゴメン美容院予約しちゃってるから、次は行くよ」
と人によっては回りくどく感じるかもしれませんが、相手の投げたボールを叩き落とすのでもキャッチしたままでもなく、キャッチしたボールを優しく投げ返すのがアサーティブなコミュニケーションスキルです。
セルフトレーニング
独り言でもいいので自分の感情を言葉にしてみましょう。
「私は 悲しい」「私は 嬉しい」「私は 不安」など、心の中で留めていた感情を吐露し。それに慣れたら相手との会話に乗せていくといいでしょう。
DESC法
他にも有名なトレーニング法としてDESC法があります。具体的には。
· D: Description(事実) 具体的に何が起きたのかを説明する
· E: Expression(感情) その出来事に対して自分がどう感じたのかを伝える
· S: Specific request(要求) 相手にどうなってほしいのかを具体的に伝える
· C: Consequences(結果) 相手が要求に応えてくれた場合のメリットを伝える
例としては「会議に10分遅刻された時、私は仕事が滞ってしまい焦りました。今後は5分前には来てほしいです。そうすれば、スムーズに会議を始められます」みたいな感じです。
さいごに
アサーションスキルは対人関係においてストレスを軽減し、それに伴う心身の不調の改善に役立つはずです。皆が等しく自己主張が得意ではありませんし、同じように等しく受動的でもありません。だからこそお互いを尊重し合うアサーティブな考えや会話がこれからは増々必要になってくるでしょう。はじめは難しいかも知れませんが、コツコツと地道にこの生きやすさの助けになるスキルを身につけましょう。