緊張した時の3つの対処法:緊張は必要な反応

「人前に出ると緊張する」という経験は、多くの人が共感できると思います。

私自身とても緊張しいなので、慣れ親しんだ間柄でも人数が多くなると放しづらくなります。例えば何に数回整体勉強会を開くのですが、10年以上のつき合いのある仲間なのに登壇したとたん話し方がアワアワしてしまうんですね…。

さて緊張すると、心臓がドキドキしたり、手汗をかいたり、顔が赤くなったりするのは自律神経が関係しています。通常は交感神経と副交感神経のバランスが保たれていますが、緊張すると交感神経が優位になります。

緊張は生物として生き残るために必要な反応であるとも言えます。例えば、原始的な脳である「扁桃体」は、危険を察知し、不安や緊張を感じる役割を担っています。この機能は、進化の過程で外敵から身を守るために重要でした。現代社会でも、未知の状況に備えて緊張することは、社会生活を営む上で不可欠です。

また、人前で緊張するのは「他人に良く思われたい」「失敗したくない」という気持ちの表れでもあります。認めたくない気持ちもわかりますが、こういった欲望は決して悪いものではなく、むしろ自然な感情です。

ただ緊張は必ずしも悪いものではなく、適切に管理することで、集中力やモチベーションを高めることも可能なんですね。

緊張のメカニズム:なぜ人は緊張するのか?

前述の通り、緊張は扁桃体と呼ばれる脳の部位が、ある状況を「危険」と判断したときに生じる反応です。私たちの脳は、過去の経験や学習に基づいて、特定の状況を「危険」と結びつけることがあります。例えば、人前で話すことが過去に失敗に終わった経験があると、脳はその状況を「危険」と認識し、緊張を引き起こす可能性が高まります。

緊張の生理的な反応

  • 心拍数の増加: 血流を増やし、筋肉に酸素を供給するために心拍数が上がります。
  • 発汗: 体温を下げ、筋肉の摩擦を減らすために汗をかきます。
  • 呼吸の浅くなる: 酸素摂取量が増え、筋肉にエネルギーを供給するために呼吸が速くなります。
  • 筋肉の緊張: 身体を動かす準備を整えるために筋肉が緊張します。

緊張を悪化させる要因

  • 完璧主義: 完璧なパフォーマンスを求めるあまり、失敗を恐れて緊張が高まります。
  • 否定的な思考: 「うまくいかないかもしれない」「恥をかくかもしれない」といった否定的な思考は、不安を増幅させます。
  • 準備不足: 準備不足は、自信の喪失につながり、緊張を悪化させます。
  • 過去の失敗経験: 過去の失敗経験は、トラウマとなり、類似した状況で緊張を引き起こす可能性があります。
  • 社会的評価への不安: 他人からの評価を過度に気にしすぎることで、緊張が高まります。

過度な緊張の悪循環

緊張が過剰になると、パフォーマンスが低下する可能性が一気に上がります。一度失敗すると、その経験がトラウマとなり、さらに緊張しやすくなるという悪循環に陥ることもありますし、だからこそ、緊張しないように無理をするのではなく、「緊張に慣れる」ことが大切です。

日常生活でできる緊張のほぐし方

緊張に上手に付き合うためのセルフケア法を3つご紹介します。

腹式呼吸

呼吸は、自律神経をコントロールできる唯一の方法です。緊張時に深い腹式呼吸を行うと、副交感神経が活性化し、リラックスに繋がります。特に、ゆっくりと息を吐くことがポイントです。緊張を感じた際には、この呼吸法を何度か繰り返してみましょう。

姿勢を整える
座った状態か仰向けになり、背筋をまっすぐに保ちます。肩の力を抜き、リラックスします。

鼻からゆっくり息を吸う
鼻からゆっくり息を吸いながら、お腹を膨らませます。このとき、胸はあまり動かさず、お腹だけが膨らむように意識します。

口からゆっくり息を吐く
口を少し開け、ゆっくり息を吐きながら、お腹を引っ込めます。息を吐き切るまでリラックスして行いましょう。

筋弛緩法


筋肉を一度緊張させてから力を抜く方法です。これにより、リラックス状態を体感しやすくなります。この方法も手軽にできるので、人前に出る直前に行うことができます。

緊張させる
対象となる筋肉を約5秒間、意識的に強く緊張させます。例えば、手を握りしめる、肩をすくめる、足を固くするなど、部分ごとに行います。

緩める
緊張を解き、筋肉をリラックスさせます。10秒から20秒間、筋肉が完全に緩んだ感覚に集中し、リラックス状態を感じ取ります。

自律訓練法


自己暗示によるリラクゼーションを促すトレーニングです。体が重く温かく感じるリラックス状態をイメージし、その感覚を体に覚えさせるものです。この方法は、練習を重ねることで緊張時にもリラックス状態を呼び戻せるようになります。

リラックスした姿勢をとる
椅子に座るか、仰向けになり、全身の力を抜いてリラックスします。目を閉じて、静かな環境で行うのが理想的です。

体に集中する
いくつかの言葉やイメージを心の中で繰り返し、自分の体の変化に意識を集中します。以下のステップを順番に行います:

  • 重感:「腕や足が重い」と心の中で繰り返し、体が重くなる感覚を味わいます。
  • 温感:「腕や足が暖かい」と繰り返し、体が暖かくなる感覚に集中します。
  • 心臓:「心臓が規則正しく落ち着いている」と感じます。
  • 呼吸:「呼吸が楽で深い」と意識し、自然な呼吸に集中します。
  • 腹部:「お腹が温かい」と感じ、腹部の暖かさに意識を向けます。
  • :「額が涼しい」とイメージし、額の涼しさを感じます。

他にも、モゴモゴとした口調になりがちな人は、欠伸や巻き舌などで準備運動してみるのも良い とされています。

ふくやま

もう一つ「私は今緊張しています」とハッキリ宣言してしまうのも意外に効果は大きいです。自身と相手の両方に宣言することで、気持ちが一気に楽になります。

さいごに

緊張が社会生活に支障をきたすほど強い場合、「社交不安障害」と診断されるケースもあります。自分の緊張度合いが生活を脅かすほど強い場合は、専門医の診断を受けることも検討するのも一つの方法かと思います。

また、自律神経が影響する緊張症状は個人差がありますが、緊張が長期化すると「過緊張」と呼ばれる状態に陥ることもあります。これは、交感神経の過剰な緊張が持続し、自律神経のバランスが崩れた状態です。過緊張の原因となるストレスは、日常生活の中」に多く潜んでいますので、そちらに対してのアプローチも緊張緩和の方法かと思います。

適度な緊張はパフォーマンスを高めることもありますが、過度な緊張が続くと精神面や身体面に不調をきたす可能性があるため、適切なセルフケアや専門家のサポートを活用しながら、緊張と上手に付き合っていきましょう。

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